紡のメンバーが、約半年の準備期間を経て実施した「多可・播州織のふるさと写真展 〜のこぎり屋根と女工さんたちが見た風景〜」。
資料館や工場だけでなく、町内の一般家庭に眠っている写真を集めるところから始めた取り組みなのでかなり大変な作業でしたが、多くの方のご協力のおかげで貴重な写真をたくさん集めることができました。また、写真提供者への取材活動を通して、これまで聞いたこともないような話を耳にすることもできましたし、熱心に語って下さる当時の織物工場の経営者の皆様や女工さんたちの思いに触れることもできました。
晴天に恵まれ、9:30のオープンと同時にたくさんの方が来場してくださり、16時の閉場まで常に会場内が満員の状態でした。来場して下さった皆様は、当時、織物工場に従事しておられた方が目立ちましたが、その他にも東京や愛知県など、「のこぎり屋根」というキーワードに関心を持って、遠方から足を運んでくださった方がもおられました。
当日は、写真展と並行して11時〜14:30までずっとステージイベントを開催させて頂いていましたが、内容は以下の通りです。
■ 11:00 〜 12:00
「若き職人が創造する播州織の未来と受け継ぐ歴史」
■ 12:30 〜 13:30
「のこぎり屋根の魅力とその利活用の可能性 〜群馬県桐生市の取り組み」
「利活用提案に関するパネルディスカッション」
■ 13:40 〜 14:30
「座談会 〜播州織むかし話」
11:00からは、町内で播州織の新たな可能性を模索しつつ織物工場を営んでおられる「Banshu-ori Next Japan」の6名に登壇していただき、12:30からは、日本でも先駆的なのこぎり屋根の利活用の取り組みを行っている群馬県桐生市から、桐生商工会議所・専務理事の石原雄二さんをお迎えしてご講演を頂きました。続けて、「使われなくなったのこぎり屋根・わたしだったらこう使う!」というテーマで、こんなふうにのこぎり屋根が使われたら素敵だなという提案のパネルディスカッションを行いました。
最後に、那珂ふれあい館館長の安平勝利さんとの対談という形で、当時、のこぎり屋根で働いていた3人の女性にインタビューをさせて頂きました。なかなかこういった機会はありませんので、当時のご苦労や時代背景など、経験してこられた方でなければ語ることのできないお話を聞かせて頂くことができました。その他、会場内では、播州織製品などの展示販売ブースや機織り無料体験会、スマホで多可町内にあるのこぎり屋根を探そう!を終日開催。
会場にお越しになった皆様からは、「1日だけで終わってしまうのは勿体ない」「またやってほしい」「貴重な資料としてアーカイブ化して公開して欲しい」などの意見を多く頂きました。
紡の取り組みは古民家の改修と利活用、そしてそれらを使ったイベントなどを通して地域の魅力を発信することですが、使われなくなった歴史的な建物・のこぎり屋根を使って多可の地場産業である播州織とのこうしたコレボレーションは、この地域の魅力を知って頂く新たな可能性を広げることができたのではないかと感じています。
この会場に足を運んで下さった皆様は、きっとこれから町内を車で走っていると「あっ、のこぎり屋根だ!」と目に止まるようになるのではないかと思っています。